日本に住むMerch on Demandデザイナーは、Amazon広告に日本の消費税を払う必要がありません。 Merchの広告はamazon.co.jpでは出せず、出せるのは米国・英国・ドイツ・フランス・イタリア・スペインのAmazonだけです。海外のAmazonが配信するインターネット広告の消費税は、受け手が自分で計算する「リバースチャージ方式」の対象で、免税事業者は申告不要、課税事業者でも課税売上割合が95%以上なら取引そのものが「なかったもの」とされます。それでもamazon.comの請求書に10%が上乗せされていたら、それは払う必要のない税です。取り戻す方法を下で説明します。
ご自身の金額で試すには:Amazon広告の消費税計算ツール(日本・Merch)。
Merch on Demandの契約・ヘルプページと国税庁の資料で、2026年10月に確認した内容です。
ひと目でわかる結論
| あなたの状況 | Merch広告の消費税 | 理由 |
|---|---|---|
| 免税事業者 | 0円 | リバースチャージは申告不要(問26) |
| 課税事業者・一般課税・95%以上 | 0円 | 取引は「なかったもの」(問5) |
| 簡易課税・2割特例・3割特例 | 0円 | 同じく「なかったもの」(問5) |
| amazon.comの請求書に10% | 取り戻せる | 下の「請求書に消費税が載っていたら」 |
※問番号は国税庁「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係に関するQ&A」(令和8年6月改訂)。
Merch広告はどこで出せるのか
Merchの広告は招待制で、スポンサープロダクト広告だけ、6つのマーケットプレイスだけです。 Merchのページ「商品を宣伝する」には、招待を受けたアカウントは「米国、英国、ドイツ(DE)、フランス、イタリア、スペイン(ES)」を含む単一の広告アカウントに登録できる、とあります。作成・管理できるのは「Merch商品のキャンペーンのみ」です。
Merchの商品はamazon.co.jpでも売れます(ロイヤリティ表に日本の例があります)。しかしamazon.co.jpでMerch広告は出せません。 つまり、アマゾンジャパン合同会社から消費税10%つきの広告請求書が届くことはありません。
広告の契約相手は、Amazon Advertising Agreementでマーケットプレイスごとに決まっています。
| マーケットプレイス | 請求する会社 |
|---|---|
| amazon.com | Amazon Advertising LLC(米国) |
| amazon.co.uk | Amazon Online UK Limited(英国) |
| amazon.de | Amazon Online Germany GmbH |
| amazon.fr / .it / .es | Amazon Online France SAS / Italy S.r.l. / Spain S.L.U. |
どれも日本国外の会社です。
なぜ日本の消費税がかからないのか
- インターネット広告は「事業者向け」です。 国税庁のQ&A問3-1は、「インターネットを介した広告の配信」を、役務の性質から「事業者向け電気通信利用役務の提供」にあたる例として挙げています。
- 消費税を納めるのは受け手です。 国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合は、受けた国内事業者が申告・納税します(問5)。同じQ&Aは、支払った対価の額には「消費税等に相当する金額は含まれていません」と書いています(問18)。
- 免税事業者は申告不要です。 問26:免税事業者は「国外事業者から特定課税仕入れ(インターネットによる広告の配信)を受けたとしても、消費税の申告を行う必要はありません」。
- 課税事業者でも、多くの場合は0円です。 一般課税で課税売上割合が95%以上の課税期間、または簡易課税・2割特例・3割特例の課税期間は、当分の間「なかったもの」とされます(問5)。Merchのロイヤリティが売上の中心なら、課税売上割合はほぼ100%です。
デザインを繰り返しライセンスして収入を得ているMerchデザイナーは、消費税法上の「事業者」です。問3-1の注も、ネット上でゲームソフトなどの利用許諾を反復・継続して行う行為は「個人が行うものであっても消費税法上の事業に該当する」と書いています。
amazon.comの請求書に消費税が載っていたら
Amazonは日本を、広告に税を課す国の一覧に入れています。 Amazon Adsのヘルプ「Countries that collect tax on Electronically Supplied Services」には日本があり、別のページは、有効な登録番号がなく、その国に住み、amazon.comで広告を出す広告主には、この税が「chargeable」だと書いています。
日本の法律では、上のとおり、この広告に日本の消費税を払うのはあなたではなく、しかも多くの場合0円です。請求書に日本の消費税が載っていたら、こうしてください。
- 請求書の税の行を確認する。 Amazon Adsの「Billing」から月ごとのPDFを開き、Taxの行を見ます。
- Amazon Adsに返金を求める。 ヘルプセンターの「Contact us」から、国税庁Q&A問3-1(インターネット広告は役務の性質から事業者向け)と問5(納税義務は受け手)を示して、税の取り消しを依頼します。
- インボイスの登録番号があれば登録する。 Payment Settingsの「Tax info」に登録番号(T+13桁)を入れると、以後は正しく請求されます。Amazonの返金には、請求期間に登録が有効だったことを示す登録証明が必要です。
国税庁の見解を自分の取引について文書で得たい場合は、「事前照会に対する文書回答手続」が使えます。
課税事業者になる意味はあるか
Merch広告のためだけなら、ありません。 取り戻す消費税がそもそもないからです。KDPの著者がamazon.co.jpの広告費から10%を取り戻せるのとは、ここが違います。
意味が出るのは、日本国内で払う経費の消費税(国内のソフトウェアや機材など)を取り戻したい場合だけです。
- Merchのロイヤリティは輸出免税です。 Merchのサービス契約の相手方は米国のAmazon.com Services LLCで、本店はシアトルです(国税庁法人番号公表サイト)。非居住者に対する著作権等の貸付けは輸出免税です(No.6551)。売上の消費税は0円なので、一般課税なら国内経費の消費税が還付されます。
- 代わりの負担:課税事業者選択届出書を出すと原則2年間は免税事業者に戻れず、毎年の申告が必要です。簡易課税・2割特例・3割特例では還付は出ません。
- 基準期間の1,000万円には輸出免税の売上も含まれます(基本通達1-4-2)。2年前のロイヤリティが1,000万円を超えていた方は、すでに課税事業者です。
よくある質問
Merchでスポンサーブランド広告は出せますか?
Merchの広告アカウントで作れるのは、Merch商品のスポンサープロダクト広告だけです。
免税事業者でも、海外のAmazon広告について申告が必要ですか?
いいえ。国税庁Q&A問26のとおり、免税事業者はインターネット広告の配信についても消費税の申告を行う必要はありません。
KDPでも出版しています。何が違いますか?
KDPの本はamazon.co.jpで広告でき、その請求書には消費税10%がかかります。課税事業者になれば取り戻せます:日本のKDP著者向け:Amazon広告の消費税10%を取り戻す方法。
改めて試算するには:Amazon広告の消費税計算ツール(日本・Merch)。広告費そのものの目安はスポンサープロダクト広告の費用をご覧ください。
出典
- 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係に関するQ&A(令和8年6月改訂、問3-1、問5、問18、問26)、国税庁
- No.6551 輸出取引の免税、国税庁
- No.6303 消費税および地方消費税の税率、国税庁
- 消費税法基本通達 第4節 納税義務の免除(1-4-2)、国税庁
- D1-4 消費税課税事業者選択届出手続、国税庁
- 事前照会に対する文書回答手続、国税庁
- Amazon.com Services LLCの法人番号情報、国税庁法人番号公表サイト
- Amazon Merch on Demandサービス契約(契約当事者)、Amazon
- 商品を宣伝する(広告のマーケットプレイス)とロイヤリティ、Amazon Merch on Demand
- Amazon Advertising Agreement(「Amazon Contracting Party」の定義)、Amazon Ads
- Countries that collect tax on Electronically Supplied Services、VAT on Electronically Supplied Services、Register your Tax ID、Tax refunds、Amazon Adsヘルプ
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